睡眠障害|鶴瀬メンタルクリニック|富士見市鶴瀬駅の精神科・心療内科

〒354-0024埼玉県富士見市鶴瀬東1丁目9−24

準備中

WEB予約 アクセス
鶴瀬メンタルクリニックのサブメインビジュアル

睡眠障害

睡眠障害|鶴瀬メンタルクリニック|富士見市鶴瀬駅の精神科・心療内科

睡眠障害

睡眠障害

睡眠障害とは、睡眠に関して何らかの問題が生じ、日中の活動や心身の健康に影響が出る状態を指します。「眠れない」「昼間に眠くて仕方がない」「夜中に暴れてしまう」「睡眠リズムがずれて戻せない」など、症状の現れ方はさまざまです。その中でも最も多く、精神科外来で最もよく相談を受けるのが不眠症です。日本では成人の約5人に1人が慢性的な不眠を経験しており、加齢やストレス、生活リズムの乱れなどが関係しています。眠りは単なる休息ではなく、脳と体を修復し、感情を整えるために欠かせないプロセスです。十分な睡眠がとれない状態が続くと、集中力や記憶力が低下するだけでなく、高血圧や糖尿病、うつ病などの発症リスクを高めることも分かっています。

主な症状

入眠困難
布団に入ってもなかなか眠れない。考えごとが止まらず、頭が冴えてしまう。
中途覚醒
夜中に何度も目が覚めてしまう。特に高齢者やストレスの多い方に多い。
早朝覚醒
朝方に早く目が覚めてしまい、そのまま眠れない。うつ病の一症状として現れることも。
熟眠障害
十分な時間眠っているのに、「眠った気がしない」「疲れが取れない」と感じる。

これらの症状が続くと、日中に眠気や倦怠感、集中力の低下、イライラ、気分の落ち込みなどが現れます。「眠れないこと」自体が新たな不安を生み、ますます眠れなくなる悪循環に陥ることもあります。

原因

不眠の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて以下の4つに整理されます。

  1. 心理的要因

    仕事や家庭のストレス、緊張、不安、環境の変化などによって脳が覚醒したままになり、寝つきが悪くなります。「眠れないと困る」という焦り自体が眠りを遠ざけてしまうこともあります。

  2. 身体的要因

    痛み、かゆみ、頻尿、咳、呼吸障害など、体の不調が眠りを妨げることがあります。特に閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に呼吸が止まり、何度も覚醒するため、ぐっすり眠った感覚が得られません。

  3. 精神的要因

    うつ病や不安症、適応障害などの精神疾患では、不眠が最も初期に現れることがあります。「夜になると気分が沈む」「朝早く目が覚めてしまう」という場合、睡眠の問題の背景に心の不調が隠れていることがあります。

  4. 生活習慣・環境要因

    夜遅くまでスマートフォンを見ている、カフェインを摂る、夜勤などで生活リズムが乱れると、体内時計がずれてしまいます。寝室の温度や光、音、寝具の硬さなど、環境的な要因も睡眠の質を左右します。私の臨床経験でも、寝る前のスマホや夜間の明るい照明を見直すだけで改善する方は少なくありません。

治療(不眠症を中心に)

治療の基本は、生活習慣の見直し(睡眠衛生の改善)と必要に応じた薬物療法です。
原因を丁寧に見極め、無理のない方法で自然な眠りを取り戻すことを目指します。

  1. 睡眠衛生の改善

    まずは「眠れる体のリズム」を整えることが第一歩です。

    • 就寝・起床時間を毎日ほぼ一定に保つ
    • 就寝1時間前からスマホ・PCの使用を控える
    • カフェインを午後以降は摂らない(コーヒー・紅茶・緑茶など)
    • 寝る前にお酒やタバコを控える(眠りの質を下げます)
    • 寝室を暗く・静かに・涼しめに保つ
    • 眠れないときは一度起きて、静かに過ごす

    これらを2〜3週間続けるだけで、薬に頼らず眠れるようになる方も少なくありません。

  2. 認知行動療法(CBT-I)

    「眠れない不安」や「早く寝なければ」という思考のクセを修正する心理的アプローチです。

    当院では、生活リズムや考え方を一緒に整理しながら、自然な睡眠習慣を身につけるサポートを行っています。

  3. 薬物療法

    生活改善でも眠れない場合、短期間の薬物療法を検討します。現在の睡眠薬は副作用が少なく、自然な眠りを誘うタイプが主流です。

    • メラトニン受容体作動薬(ラメルテオンなど):体内時計を整える
    • オレキシン受容体拮抗薬(レンボレキサントなど):覚醒を抑え自然な眠気を促す
    • 非ベンゾジアゼピン系薬:自然な入眠を助ける
    • ベンゾジアゼピン系薬:短期的な強い不眠に用いる

私の臨床経験では、ストレスやうつ病が背景にある場合、抗うつ薬を少量併用すると眠りが安定することもあります。

薬はあくまで補助的なものであり、生活リズムの改善と併せて少しずつ減薬を目指します。

当院での対応

当院では、まず詳しい問診を通じて「眠れない理由」を丁寧に探ります。ストレスやうつ状態、身体疾患、薬の影響など、原因は一人ひとり異なります。必要に応じて血液検査や睡眠日誌を用い、症状に応じた治療を提案します。私の臨床経験でも、生活リズムの調整で改善する方が多い一方、ストレスや心の不調が関係する場合は、薬の選び方や減らし方を慎重に進めることが大切です。
「薬を出して終わり」ではなく、患者様が安心して眠れるよう、生活指導や心理的サポートを組み合わせて治療します。

他の睡眠障害について

睡眠障害には、不眠症のほかにもいくつかのタイプがあります。
以下のような症状に心当たりがある場合も、早めの受診が大切です。

過眠症(ナルコレプシー・特発性過眠症など)

日中、場所や時間にかかわらず強い眠気に襲われる病気。笑ったり驚いたりした拍子に力が抜ける「情動脱力発作」を伴うこともあります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠中に呼吸が止まり、いびきや日中の眠気が強い。高血圧や動脈硬化の原因にもなるため、専門的な検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)が必要です。

レム睡眠行動障害

夢の内容に合わせて手足を動かしたり、暴言・暴力的な行動をとってしまう病気。高齢男性に多く、神経疾患の前兆となる場合もあります。

概日リズム睡眠障害

夜更かしや夜勤などで体内時計がずれ、一般的な時間に眠れない状態。メラトニン受容体作動薬や光療法が有効です。

これらの疾患は、単なる「寝不足」とは異なり、医学的な治療が必要なケースも多くあります。

睡眠障害は、誰にでも起こり得る身近な問題です。「眠れない」「昼間に眠くて仕方がない」「夜中に暴れてしまう」など、睡眠の悩みは多様ですが、どのタイプも適切な治療で改善が期待できます。特に不眠症は、生活習慣を整え、必要に応じて薬や心理的支援を組み合わせることで、自然な眠りを取り戻すことができます。眠りの質は、心の健康そのものです。眠れない夜が続くときは、どうぞ一人で悩まずにご相談ください。

TOP