パニック症(パニック障害)|鶴瀬メンタルクリニック|富士見市鶴瀬駅の精神科・心療内科

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パニック症(パニック障害)

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パニック症(パニック障害)

パニック症(パニック障害)

突然、理由もなく強い不安や恐怖に襲われ、動悸(どうき)・息苦しさ・めまい・冷や汗などの身体症状が急に現れることがあります。これを「パニック発作」といいます。発作中は「このまま死んでしまうのでは」「気が狂ってしまうのでは」と感じるほどの強い恐怖を伴いますが、実際に命に関わることはありません。
ただし、パニック発作があるからといって必ずしもパニック症とは限りません。発作が一度だけ起こる方もおり、甲状腺機能異常や低血糖、心臓疾患、過呼吸などの身体的な要因でも似た症状を起こすことがあります。
医学的には、発作を何度も繰り返し、「また起こるのではないか」という予期不安が強まり、行動に支障が出るようになった状態を「パニック症(パニック障害)」と呼びます。発作を恐れて電車やエレベーター、人混みなどを避けるようになることもあり、これを広場恐怖といいます。日本では100人に1〜2人が経験する比較的よくある病気で、20〜40代の女性に多くみられます。

決して「性格が弱い」「気の持ちよう」などではなく、脳の働きとストレス反応のバランスが崩れることで生じる病気です。

主な症状

  • 突然の激しい動悸、息苦しさ、胸の圧迫感
  • めまい、ふらつき、冷や汗、吐き気
  • 手足のしびれや震え、体が熱くなる感覚
  • 現実感の喪失(自分が自分でないような感覚)
  • 「このまま死ぬのでは」という強い恐怖
  • 「また起こるのでは」という持続的な不安
  • 外出や乗り物を避けるようになる(広場恐怖)

発作の持続時間は数分〜30分程度ですが、本人には非常に長く感じられます。初回は救急車を呼ぶ方も多く、「心臓の病気かと思った」という訴えがよく聞かれます。

原因

パニック症は、脳の「不安を感じる仕組み」の働きが過敏になっている状態と考えられています。
脳内で感情を調整するセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質のバランスが崩れ、身体のストレス反応が過剰に起こることが要因の一つです。また、過労・睡眠不足・家庭や職場でのストレス・環境の変化なども引き金となります。責任感が強く、周囲に気をつかうタイプの方に多い傾向があります。
家族にパニック症や不安障害の方がいる場合、遺伝的に発症しやすいことも知られています。まずは甲状腺機能異常や心疾患などの身体的な病気がないかを確認した上で、心の働きの乱れを整えていく治療を行います。

治療

治療の柱は、薬物療法と認知行動療法(CBT)です。これらを組み合わせることで、ほとんどの方が発作をコントロールできるようになります。

  1. 薬物療法

    主に用いられるのは、抗うつ薬の一種である**SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)**です。不安や緊張を和らげ、発作を起こりにくくします。効果が出るまで2〜4週間ほどかかります。
    服薬初期に少し不安や吐き気が増すことがありますが、通常は一時的です。一方、抗不安薬(いわゆる「安定剤」)は即効性があり、発作時の緊急対応に役立ちます。ただし、長期間の連用で依存が生じることがあります。私の臨床経験でも、SSRIで発作が安定する方が多い一方、抗不安薬が手放せなくなる方も少なくありません。抗不安薬は「必要なときに最低限の使用」にとどめ、SSRIなどの根本治療薬を中心に進めることが重要です。薬の量は患者様ごとに調整し、症状が安定すれば徐々に減量していきます。自己判断で中止せず、必ず医師の指導に従うことが大切です。

  2. 認知行動療法(CBT)

    「また発作が起きたらどうしよう」という不安の悪循環を見直す心理療法です。呼吸法やリラクゼーションを学びながら、避けていた場所に少しずつ慣れていく曝露療法(ばくろりょうほう)を取り入れることで、恐怖に対処できる感覚を取り戻していきます。薬だけでなく、「不安との付き合い方を身につける」ことが再発予防の鍵となります。

生活習慣とセルフケア

治療効果を高めるには、生活リズムを整えることも大切です。

  • 十分な睡眠をとる
  • カフェイン・アルコール・喫煙を控える
  • 軽い運動やストレッチを習慣にする
  • 頑張りすぎず、休息の時間を確保する

発作のときには、深呼吸や腹式呼吸で体を落ち着かせ、「これは一時的な反応で命に関わらない」と意識することが役立ちます。家族や周囲の人が発作時に落ち着いた対応を取ることも、安心感につながります。

当院での対応

鶴瀬メンタルクリニックでは、薬物療法を中心にしつつ、一人ひとりの生活リズムやストレス背景を丁寧に確認しながら治療を進めます。SSRIの効果が出るまでの不安な時期も、こまめに経過を共有しながら薬を微調整し、できるだけ早く「日常生活を取り戻す」ことを目指します。抗不安薬については、依存を防ぐために短期間・最小限の使用を基本とし、安心して減薬できるようサポートします。発作の不安そのものを恐れて外出を控える方も多いですが、適切な治療により再び旅行や仕事を楽しめるようになるケースも多くあります。

ご家族へのメッセージ

パニック症は外から見ると「大げさ」に見えることがありますが、発作の恐怖は本人にとって非常に現実的で強烈です。 「気にしすぎ」などの言葉は逆効果であり、まずは「怖かったね」「大丈夫、一緒に治していこう」という理解的な姿勢が支えになります。 治療を続けるうちに発作の頻度は少しずつ減っていきますので、焦らず見守ることが大切です。

パニック症は、脳の不安システムの過敏さから起こる病気であり、誰にでも起こりうるものです。
発作を繰り返しても、適切な治療を続ければ多くの方が仕事や家庭生活を取り戻しています。 「また起きたらどうしよう」という不安が強いときこそ、早めの受診が回復への近道です。鶴瀬メンタルクリニックでは、薬と心理的支援を組み合わせ、安心して治療を続けられるよう丁寧にサポートいたします。

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